国際化社会における日本の漫画
国際化、国際化などと安易に叫ばれてから、すでに久しいが、いったい、どれほどの人間がその国際化とやらを実感し、認識し、対応しているというのか!?
そもそも……
(中略)
……では、その一端を以下に見てもらおうか。
台湾版国立博物館1 台湾版国立博物館2 台湾版国立博物館3 台湾版時の添乗員
表紙をクリックして、各々の手元のテキストと見比べよ

 『国立博物館物語』と『時の添乗員』の台湾版だ。

 『国立博物館物語』はそのまま『國立博物』。捻りがないな(笑)  
 『時の添乗員』はそれらしく『時光導遊』
 なんか変だと思うかもしれんが、表紙は、『國立博物』は日本のものと裏表紙と入れ替えて使用しておる。

 発行年のせいなのか、出版社の問題なのかはわからないが、『國立博物』は印刷がかなり悪い。
 『時光導遊』 は日本版と遜色ないんだが、『國立博物』はコピーした感じで、全体的に黒く、アミなども潰れてしまっている。
 ただ、 『國立博物』の方は、文字をほとんど訳しているので非常に興味深い。
 描き文字を消せる部分は消してその上から訳し、細かくて消せない場所は欄外に訳が書かれておる。
 一方の 『時光導遊』も新聞の見出しや大きな看板は訳されているものの、描き文字は日本語のまま。

 話が前後してしまったが、肝腎の内容は日本版と全く同じ。
 名前も時尾は時尾、晴美は晴美。弥生は彌生とちょっと年配風(笑)
 『もの真似名人』に出てくる「フ〜ジコちゃ〜ん」はちゃんと「富〜士〜子呀」 。
 「先生」のことを「老師」となっているのが、なんか馴れないな。
 スーパーEはどうなっているか気になるものもいるかもしれんな。残念ながらSUPER-Eだ。

 話が逸れるが、誤訳だが『偶然の力』に出てくる「リーキーラック」が「瑞奇ROCK」となっとる。
 化石の話だから、ROCKだと思ってしまったのかもしれんな。

 まさか知らない者はおるまいが、中国語は表意文字だ。
 漢字は書いただけで意味を成す。
 そのため、中国語には「ギャー」とか「ドカーン」みたいな、音だけで意味を成さな い擬音が存在しない。
 音が似ていても、まるでその場面にそぐわない漢字は使えないというわけだ。
 いや、存在しないというのは、ちと語弊があるな。
 「あっ」とか笑い声、鳴き声などには当てられる字がいくつかはあるのだ。
 しかし、それ以外はあまりないようで、音と言うより、状況説明のような擬音になる 。
 いくつか例を見せると、
 「ドキドキ」→「心跳、心跳」
 「ヒシッ」→「抱緊!」
 「ズシン!」→「震動!」
 「ポロポロ」→「涙流満面」
 という具合。
 「ゴー!」というのは、珍しく音も意味もあってて「轟!」と表記される。
 そのためか、よく多用される擬音である。
 それらとは逆に、日本語やハングルには表音文字があるため、無限に意味のない書き文字を作り出せるのだ。

 日本の漫画が世界で読まれていると言うのは、日本人としては、まぁ嬉しいことではあるが、
 輸出するばかりではなく、もっと翻訳もしてもらいたいものだ。
 映画のおかげで最も近しいアメコミですら、ほとんど邦訳が出ない状況だ。
 見方を変えれば、文化の押し売りをしているようなものだからな。

 漫画は舞台がどこだろうと、その国民性や文化が現れる。
 海外の作品は、やはり日本とは違い、その違いこそが面白く、興味深い。
 アメコミの『911』や『 the Amazing Spider-Man #36』など、あの日の衝撃がどれほどのものだったのか、非常に理解できると思う。
 漫画には、こういう異文化の理解を助ける機能が強いんだがな。
 もっと、海外作品の翻訳を切に願う。

 本講義はここまで。

 なお、今回使用したテキストはココで購入することができる。
 興味を持った諸君は行ってみるといいだろう。