『焔の眼』EYES OF FIRE〈早川書房 海外SFノヴェルズ〉
訳:冬川 亘/カバー:岩崎政志/発行:1982年8月31日
インターステルの許可を得て、惑星グラ・タウスヘと派遣されたオムンディ社の駐在通商代表セトとアベルは、いま王宮の広間で支配者であるレディ・ターシェプセルを待ちながら、不安にうち震えていた。彼ら二人のクローン・ファーザー――キュンター・ラティマーが、つい先日、異星人に対して反感を持つ暴徒たちによって惨殺されたばかりであった。地球から遠くはなれた異郷の地にあって、人類は彼ら二人だけ。通商条約のみならず、自らの命すら、あやぶまれる状況にあったのだ。だが意外にも、レティ・ターシェブセルの口から出た言葉は、条約破棄でも追放でもなく、セトに全権特使として、七光年はなれた惑星トロープを訪れてほしいとの依頼だった。トロープの執政官に会い、移民に関する交渉をしてほしいというのである。なかばはっとしながら、セトは気軽にひきうけてしまったのだった、その裏に怖るべき陰謀がかくされていることも知らすに……。70年代に新星のごとく登場したマイクル・ビショップが、二つの異星世界とそのはざまで苦悩する一人の青年の姿を、流麗な筆致で美事に綴りあげた傑作SF!
『樹海伝説』TRANSFIGURATIONS〈集英社〉
訳:浅倉久志/カバー:磯野宏夫/発行:1984年10月15日
辺境惑星ボスク・ヴェルトの樹海に住む霊長類アサディ族の生態を研究していた異星人類学者イーガン・チェイニーは、ひとり樹海の中にはいり、アサディ族とともに140日を過ごした。そこから彼がもち帰ったのは、高度な科学文明の存在を示す謎のアイブックと、アサディ族の衝撃的な死と指名の儀式の詳細をしるしたフィールド・ノートだった。しかし、チェイニーはそのすべてを否定し、失踪してしまう。六年後、チェイニーの娘でやはり人類学者のエレジー・キャザーが、父の生存を信じ、アサディ族の秘密を解くために訪れる。チェイニーの同僚として、残されたフィールド・ノートを公表したトマス・ベネディクトは、ふたたびこの若い女性学者とともに樹海にはいるのだが……。二年連続でネビュラ賞を受賞した“時の人”マイクル・ビショップが詩情あふれる文体と、ゆたかな人類学の知識を駆使して描きあげた異様な世界。新たなジャンルの誕生を宣言し、SF界の話題をさらった衝撃の問題作。
『ささやかな叡智』A LITTLE KNOWLEDGE〈ハヤカワSF719〉
訳:友枝康子/カバー:K・G・ヤナセ/発行:1987年6月15日
時は21世紀。かつて栄華を誇ったアメリカは、あとかたもなく消えていた。広大な国土には蔦かおい茂り、大都会のあった場所には巨大な人工ドームかそびえるはかり……〈都市核〉と呼ばれるこうしたドームが今や独立した国家となっているのだ! ジョージア州アトランタも例外ではない。だが宗教的独裁政権に支配されるこの街に、白鳥座からエーリアンが訪れて、ひっそり暮らしていた。市民には彼らの目的も、真意もわからなかったが、エーリアンの存在自体が、やがて〈都市核〉を根底から揺るがしていくのだった! 米SF界きっての技巧派が鮮やかに描き出す近末未SF登場。
『デクストロU接触』UNDER HEAVEN BRIDGE〈創元SF文庫695−01〉
共著:イアン・ワトスン
訳:増田まもる/カバー:加藤直之/発行:1988年10月14日
超光速船ヘヴンブリッジの調査隊一行がジェミニ星系デクストロ第2惑星で遭遇した種族は、カイバーと名付けられた。全身を金色の甲殻で覆われた、機械のごときカイバーは、言語学者・高橋恵子からレクチャーを受け、人類の知識体系を恐るべきスピードで吸収してゆく。だが彼らは、自らの文化については何一つ語らない。さらには、ある日突然、休眠状態に入ってしまったのだ。一方、恒星デクストロは刻一刻とノヴァ化にむかっていた。デクストロがノヴァとなる時、カイバーたちには何かが起こるはずだ……。現代英米SF界の最前線に立つ二作家が放つ、めくるめく世界律のヴィジョン。
『リトペディオン 石の子』WITHIN THE WALLS OF TYRE〈文芸社〉
訳:吉野正樹/カバー:?/発行:2008年5月15日
マリリン・オダウ55歳。ショッピングモールのマネージャーを務める彼女の元に、一人のセールスマンがやってきた。第2次世界大戦で亡くなった恋人の面影を携えたこの若者は、いったい誰……?(帯)
「キャサドニアのオデッセイ」Cathadonian Odyssey
『S‐Fマガジン197号』掲載(訳:浅倉久志/イラスト:宮内保行)
数知れぬ池の面にきらめく美しい星――。そして人類からの最初の洗礼は殺戮――。これはそんな惑星キャサドニアに伝わる哀しく、そしてあたたかい愛の物語です(キャプション)
『S‐Fマガジン400号』再掲載(訳:浅倉久志/イラスト:加藤洋之&後藤啓介)
人類から殺戮の洗礼を受けた美しい惑星に伝わる、哀しくもあたたかい愛の物語(キャプション)
「宇宙飛行士とジプシー」Spacemen and Gypsies
『S‐Fマガジン198号』掲載(訳:浅倉久志/イラスト:岩淵慶造)
バルカン半島からアドリア海へ。危難の海から東の海へ。月の夜をさまよい歩くジプシーのわだちの跡は彼方へとどこまでも……(キャプション)
「はぐれトマト」Rogue Tomato
『S‐Fマガジン227号』掲載(訳:浅倉久志/イラスト:霜月象一)
ある朝目覚めたフィリップ・Kは、あろうことか巨大なトマトに変身していた! 死にゆく赤色巨星の周囲をめぐる、流浪のトマトの行方やいかに? 運命やいかに?(キャプション)
『80年代SF傑作選(下)』所収(訳:小野芙佐)
『S‐Fマガジン309号』掲載(訳:小野芙佐/イラスト:野中 昇)
目覚めると見知らぬ土地に――しかも眠る前とは違う土地にいたらあなたは?(キャプション)
「侍と柳」The Samurai and the Willows
『S‐Fマガジン329号』掲載(訳:宮脇孝雄/イラスト:角田純男)
日系人の男と黒人女。未来都市を舞台に二人の男女の姿を日本情緒豊かに描く(キャプション)
「灰色国からの贈物」A Gift From the Gray Landers
『S‐Fマガジン347号』掲載(訳:宮脇孝雄/イラスト:末弥 純)
「ジョージア州クズ・ヴァレー、ユキオ・ミシマ文化協会」The Yukio Mishima Cultural Association of
Kudzu Valley, Georgia
『S‐Fマガジン392号』掲載(訳:嶋田洋一/イラスト:角田純男)
三島由紀夫『豊穣の海』はクズ・ヴァレーの住民にいかなる影響をおよぼしたのか?(キャプション)
「クリスマスの幽霊」Icicle Music
『S‐Fマガジン409号』掲載(訳:浅井 修/イラスト:山野辺進)
クリスマスの夜、かならずぼくを訪れるものがある――それは……?(キャプション)
「幼年期の白ラッコ」The White Otters of Childhood
『S‐Fマガジン415号』掲載(訳:増田まもる/加藤洋之&後藤啓介)
破滅後の世界にくりひろげられる悲しくも美しい復讐譚(キャプション)
「アラクネの血の試練」Blooded on Arachne
『S‐Fマガジン423号』掲載(訳:増田まもる/イラスト:加藤洋之&後藤啓介)
惑星アラクネの空を少年は翔ぶ――短篇の名手が瑞々しいタッチで描く成長の物語(キャプション)
「ハドロサウルスとともに」Herding With the Hadrosaurs
『S‐Fマガジン444号』掲載(訳:古沢嘉通/イラスト:米田仁士)
新天地を目指して時間の断層を越えた少年たちに、激動の運命がふりかかる(キャプション)
「エイリアン・グラフィティ(突発的闖入物にまつわる個人史)」Alien Graffiti
『S‐Fマガジン555号』掲載(訳:中村 融/イラスト:長谷川正治)
突如、地球の空に出現し始めた謎の巨大文字は、異星人のメッセージか、それとも!?(キャプション)
「合作」Collaborating
『S‐Fマガジン613号』掲載(訳:内田昌之/イラスト:木村タカヒロ)
ふたりでひとつの体におさまっているのはどんな気分? ぼくたちなら話してあげられる――(キャプション)
「所属願望」 Wished-for Belongings
『ミステリマガジン361号』掲載(訳:河内和子/イラスト:細田雅亮)
人生とは奇妙なものだ、出発点も到達点も(キャプション)
「デミル伯の城」Storming the Bijou, Mon Amour
『SF宝石2号』掲載(訳:酒匂真理子/イラスト:中山 泰)
その世界には夜明けがなかった。城の窓は絶えず巨大な映像を映し出し、谷間の住人には想像を絶する苦役が課せられていた。(キャプション)
「山にはいった最後の少年」 The Last Child into Mauntain
共著:リー・エリス
『Omni日本版61号』掲載(訳:厚木 淳/イラスト:Fernando Botero)
TVゲームの天才少年が、巨大スクリーンに向かいウォー・ゲームに熱中している。敵の基地は次々と破壊されていくが、これは本物の戦争だということを、少年は知らない……(キャプション)
「横たわる怪物」The Creature on the Couch
『妖魔の宴 フランケンシュタイン編@』所収(訳:石川順子)
「つややかな猫たちのジグソー・パズルに見立てた人生」Life Regarded as a Jigsaw Puzzle of Highly
Lustrous Cats
『不思議な猫』所収(訳:浅倉久志)
「ぼくと犬の物語」Dog's Lives
『ドッグス・トーリーズ(下)』所収(『犬物語』訳:岩元 巌)
『幻想の犬たち』所収(訳:岩元 巌)
「情けを分かつ者たちの館」The House of Compassionate Sharers
『20世紀SF4』所収(訳:山岸 真)