クリストファー・プリースト〈Christopher Priest


長篇


『スペース・マシン』THE SPACE MACHINE〈創元SF文庫65501

 訳:中村保男/カバー:加藤直之/発行:1978421

セールスマン、エドワードは、ひょんなことから大科学者の秘書と知り合い恋に落ちる。二人は科学者の留守中タイム・マシンで未来への旅に出てしまった。19世紀から20世紀の未来へと。行きついた先で彼が目にしたのは、なんと恋人が爆死する光景であった。彼は夢中で操縦桿をたおし行先を変更する。どこへとも定めぬまま……。ところがこのタイム・マシンは空間を旅するスペース・マシンでもあった。二人の行先は? そこで彼らを待ちうけている運命は? 新鋭プリーストがH・G・ウェルズへの献辞をかかげ読者におくるロマンにみちた長編SF。

 

『ドリーム・マシン』A DREAM OF WESSEX〈創元SF文庫65502

 訳:中村保男/カバー:加藤直之(初版)・松林富久治(再版)/発行:1979720

1985年、神経催眠投射器リドパスによって、39名の男女が150年先のウェセックスを未来投射した。彼らの無意識が創りあげたのはまさに牧歌的てせ平和な世界だった。投射中、彼らはこの知覚化された想像世界を唯一の現実として生き、理想的な未来社会のさまざまなデータを記憶にとどめ、やがて回収係の手によって現実世界に連れ戻されるはずだった。だが、一人の男が回収係の手を逃れてこの夢の世界にとどまったとき、それは夢と現実が浸蝕し合うウェセックス多重世界のはじまりだった! 著者会心の傑作SF!

 

『伝授者』INDOCTRINAIRE〈サンリオSF文庫43A

 訳:鈴木 博/カバー:上原 徹/発行:1980530

南極大陸の氷の下6000フィートにある集中研究所でウェンティック博士は機密の研究を進めていた。刺激→反復→教化→習慣というパブロフの実験を薬を投与して短縮しようというのだ。スターリン体制下でパブロフの実験が悪用されたように、一歩間違えると危険な薬だった。ところが政府関係者と称する二人の男が突然現れて、博士はその仕事を解除されたというのだ。まだ研究は完成していないのに。そして一枚のフィルムを示して、新しく別の任務を申し渡した。目的も理由もわからないまま博士はブラジルのジヤングルへ連れてこられた。ジャングルを抜けて目的地のプラナルト地域の草原へ踏み入って背後を振り返ってみると、今までそこにあったジヤングルは消え、かわりに前方に見えるのと同じ草原の地平線がどこまでも広がっていた。その上、手の生えた机、耳のある壁、高等数学の公式に従って設計された迷路のある監獄に収容されてしまった。現代イギリスSFの代表作。

 

『逆転世界』INVERTED WORLD〈サンリオSF文庫43B

 訳:安田 均/カバー:上原 徹/発行:1983630

「地球市」と名づけられたその世界は、全長1500フィート、7層に区切られた要塞のような都市だった。しかも、最適線(都市が位置すべき理想の場所)めざして、常に北ヘ、年に約36.5マイルずつ移動する、動く都市だった。都市は、『デスティンの指導書』と呼ばれる経典に従い、6つに区分されたギルド組織によって防衛されていた。子供はすべて託児所で育てられ、印刷物はほとんど惑星「地球」この世界の伝説上の故郷とされていた――での生活を扱ったものだった。ヘルワード・マンは、この世界の成人とされる650マイルの年齢に達したとき、託児所を出て、父親と同じ未来測量ギルドの見習員に志願して、初めて都市の外の世界を垣間見た――太陽も月も、教えられていたような円形ではなく、いびつに歪んだ世界を……。「魔術師」ファウルズをして驚嘆せしめた、SF的アイデアと文学的完成度の類稀な結合。燦然と輝くプリーストの最大傑作!

 

『逆転世界』INVERTED WORLD〈創元SF文庫65503

 訳:安田 均/カバー:加藤直之/発行:1996524

〈地球市〉と呼ばれるその世界は、全長1500フィート、七層に区分けされた、要塞のごとき都市だった。しかも、年に36.5マイルずつ、レールを敷設しては移動してゆく、動く都市である。そして印刷物は、この世界の伝説の故郷とされる惑星“地球”での生活を扱ったものばかり……。この異常な世界に生まれた主人公ヘルワードは、成人とされる650マイルの歳となった日、初めて都市の外へ出ることを許された。だがそこで彼が見たのは……月も太陽も、教えられていたような円形ではない、いびつに歪んだ世界だった! 英国SF協会賞に輝く、鬼才の最高傑作。

 

『魔法』THE GLAMOUR〈早川書房 夢の文学館5〉

 訳:古沢嘉通/カバー:和田 誠/発行:19951215

自在に姿を消せる魔法の力に恵まれた男女3人の奇妙で複雑な関係とは? ロマンティックな味わいのある奇想小説(既刊紹介)

    

『魔法』THE GLAMOUR〈ハヤカワFT378

 訳:古沢嘉通/カバー:服部幸平/発行:2005131

爆弾テロに巻きこまれ、記憶を失った報道カメラマンのグレイ。彼のもとへ、かつての恋人を名乗るスーザンが訪ねてきた。彼女との再会をきっかけに、グレイは徐々に記憶を取り戻したかに思われたのだが……南仏とイギリスを舞台に展開するラブ・ストーリーは、穏やかな幕開けから一転、読者の眼前にめくるめく驚愕の異世界を現出させる! 奇才プリーストが語り(=騙り)の技巧を遺憾なく発揮して描いた珠玉の幻想小説。

 

『イグジステンズ』EXISTENZ〈竹書房文庫DR-35

 訳:柳下毅一郎/カバー:スチル(映画『イグジステンズ』)/発行:2000422

“イグジステンズ”……それは究種の体感ゲーム。未来、人々の最大の娯楽は脊髄に生体ケーブルを直結してプレイする究種のバーチャル・リアリティゲームにあった。このゲーム業界において最大のスターである美貌の天才ゲーム・デザイナー、アレグラ・ゲラーは、減多に人前に姿を現すことはないのだが、アンテナ社の極秘新作発表会場で自身のプログラムした新作ゲーム“イグジステンズ”の体険プレイのために珍しく会場にやって来ていた。会場から選ばれたモニター全員が両生類の有精卵で出来た“ゲームボッド”に接続を済ませ、ゲームに入り込んだ特、突然最前列にいた男が、持参したゲームポッドの中から動物の死骸で出来た奇抄な銃を取り出し、プレイ中のゲラーに向けて「“イグジステンズ”に死を! 魔女アレグラ・ゲラーに死を!」と言うなり発砲、彼女に重症を負わせたのであった。大混乱の中、会場の責任者であるウィトルド・レヴィも凶弾に倒れるが、意識が遠のく間際、たまたま居合わせた見習社員のテッド・ピケルにゲラーを連れて逃げるように指示を出す。「彼女を守れ。誰も信用するな……」何も解らないまま逃亡するピケルとゲラー。なぜ狙われたのか? いったい誰が敵で、誰が味方なのか? これは本当に現実なのか? そして、勝者は? 倒錐する世界で、すべての謎は“イグジステンズ”へとつながって行く……。

 

『奇術師』THE PRESTIGE〈ハヤカワFT357

 訳:古沢嘉通/カバー:七戸 優/発行:2004430

北イングランドに赴いたジャーナリストのアンドルーは、彼を呼び寄せた女性ケイトから思いがけない話を聞かされる。おたがいの祖先は、それぞれに“瞬間移動”を得意演自としていた、二十世紀初頭の天才奇術師。そして、生涯ライバル関係にあった二人の確執は子孫のアンドルーにまで影響を与えているというのだが……!? 二人の奇術師がのこした手記によって、衝撃の事実が明らかとなる! 世界幻想文学大賞受賞の幻想巨篇

 

『双生児』THE SEPARATION〈早川書房プラチナ・ファンタジイ〉

 訳:古沢嘉通/カバー:服部幸平/発行:2007425

1999年英国、著名な歴史ノンフィクション作家スチュワート・グラットンのもとに、第二次世界大戦中に活躍した空軍大尉JL・ソウヤーの回顧録のコピーが持ちこまれる。グラットンは、次作の題材として、第二次大戦中の英国首相ウィンストン・チャーチルの回顧録のなかで記されている疑義――英空軍爆撃機操縦士でありながら、同時に良心的兵役拒否者であるソウヤーなる人物(いったい、そんなことが可能なのか?)――に興味をもっており、雑誌に情報提供を求める広告を出していた。ソウヤーの回顧録を提供した女性アンジェラ・チッパートン(旧姓ソウヤー)は、自分の父親は第二次大戦中、爆撃機操縦士を務めていたと言う。果たして、彼女の父親はほんとうにグラットンの探しているソウヤーなのだろうか? 作家の棲む現実から幕を開けた物語は、ジャックとジョーという同じイニシャル(J)をもった二人の男を語り手に、分岐したそれぞれの歴史の迷宮をひたすら彷律していく……。*稀代の物語の魔術師プリーストが、SF、ミステリにおける技巧を縦横無尽に駆使して書き上げた“もっとも完成された小説”。英国SF協会賞/アーサー・C・クラーク賞受賞作。


短篇集


『限りなき夏』〈国書刊行会未来の文学〉

 編訳:古沢嘉通/カバー:下田法晴&大西祐二/発行:2008515

ふたりの若い恋人たちが囚われの身になった夏の日は、長く伸ばされた一瞬となった――「過去と未来を彷程する人間たちの愛と焦燥をロマンティックかつ技巧的に綴る2篇のマスターピース「限りなき夏」「青ざめた逍遙」、狂騒にみちた終末のビジョンを描くデビュー作「逃走」、混乱するアイデンティティをめぐる初期の代表作「リアルタイム・ワールド」、そして数千年にわたって戦争状態がつづく世界〈夢幻群島(ドリーム・アーキベラゴ)〉を舞台にした美とエロスと眩惑と恐怖にみちた物語4篇(「赤道の時」「火葬」「奇跡の石塚」「ディスチャージ」)。〈物語の魔術師〉プリーストの洗練された流麗な語りが堪能できる全8篇+書き下ろし序文を収録!

 収録作品

·          「限りなき夏」An Infinite Summer

『20世紀SF4』所収(訳:古沢嘉通)

『S‐Fマガジン242号』掲載(訳:安田 均/イラスト:角田純男)

·          「青ざめた逍遥」Palely Loitering

『S‐Fマガジン269号』掲載(訳:安田 均/イラスト:佐治嘉隆)

時の流れの川を踏み越えた少年のあこがれは、壮年に達した男の前に姿を現わす(キャプション)

·          「逃走」The Run

·          「リアルタイム・ワールド」Real-Time World

·          「赤道の時」The Equatorial Moment

·          「火葬」The Cremation

 『S‐Fマガジン588号』掲載(イラスト:佐治嘉隆)

·          「奇跡の石塚」The Miraculous Cairn

·          「ディスチャージ」The Discharge

『S‐Fマガジン572号』掲載(イラスト:佐治嘉隆)


〈ドリーム・アーキペラゴ〉シリーズ


「観察者」The Watched

 『S‐Fマガジン363号』掲載(訳:大森 望/イラスト:岩淵慶造)

 巨大な建築物の隠し部屋から覗きみる、謎の種族カタリの奇怪な儀式とは……(キャプション)

 

「ディスチャージ」The Discharge

 限りなき夏所収(訳:古沢嘉通)

 『S‐Fマガジン572号』掲載(訳:古沢嘉通/イラスト:佐治嘉隆)

 ひたすら行軍を続けるわたしには、絵画への愛、美への妄執だけが残されていた……(キャプション)

 

「火葬」The Cremation

 限りなき夏所収(訳:古沢嘉通)

 『S‐Fマガジン588号』掲載(訳:古沢嘉通/イラスト:佐治嘉隆)

 棄郷者のグライアンにとって、アーキペラゴのすべてが風変わりに思えた。死者を焼くという習慣も……(キャプション)

 

「拒絶」The Negation

 『アンティシペイション』所収(訳:安田 均)

 

「赤道の時」The Equatorial Moment

 限りなき夏所収(訳:古沢嘉通)

 

「奇跡の石塚」The Miraculous Cairn

 限りなき夏所収(訳:古沢嘉通)


アンソロジー


『アンティシペイション』ANTICIPATIONS〈サンリオSF文庫43−C〉

 訳:安田 均・他/カバー:ティム・ホワイト/発行:1987320

1985121日正午ちょうど、未来のどこからか発射された超低速時間移行機(低時機と名づけられた)が初めて姿を現わした。低時機にとじこもったままのたった一人の搭乗者は、時間を逆行しているらしく、時がたつにつれ若返り、正常な状態になっていくようだった。そしてついに1989年には、走り書きのメッセージ(意味不明なままではあったが)を送りだした……。イギリスの気鋭ワトスンがタイム・パラドクスに挑んだ短編「超低速時間移行機」をはじめ、オールディスの中編傑作「中国的世界観」など、英米のSF界を代表する8人の作家たちの書き下ろし作品を収録した画期的なアンソロジー。

 収録作品

訳:安田 均


その他


「ニューウェーブ−60年代の急進的改革」New Wave

 エッセイ 

 『S‐Fマガジン525号』掲載(訳:中村 融)

 

「戦争読書録」Reading in a War

 『S‐Fマガジン624号』掲載(訳:若島 正)