トマス・トライオン〈Thomas Tryon


『悪を呼ぶ少年』THE OTHER〈角川書店〉

 訳:深町眞理子/カバー:杉本一文/発行:1973103

ペリー家にはホランドとナイルズという双児の兄弟がいた。そっくりだけれども、まるで性格の違う二人。冷静で、無口で、謎めいたところのあるホランド。彼には、祖母ユダの猫を井戸に吊して殺してしまうような残酷なところもあった。それにひきかえ、ナイルズは明るく素直な子供だった。だが彼にも、祖母しか知らない、ある秘密があった…。ペリー家を不吉な出来事が襲いはじめたのは、少年たちが10歳の頃だった。まず父親が、地下の貯蔵庫で悲惨な事故死をとげた。そのショックで、母親は廃人同然の身になってしまった。さらに、二階から納屋の干草に飛びおりて遊んでいた、いとこのラッセルが、サスマタに胸を貫かれて即死した。母親が二階から落ち、半身不随になった。隣家のロー夫人が腐乱死体となって見つかった。その死体のそばにはホランドのハーモニカが…。祖母エダの頭のなかで、ある恐ろしい想像が次第に実を結びはじめた。ペリー家をとりまく、おぞましい死と恐怖の謎は何だったのか?――

 

『悪魔の収穫祭』HARVEST HOME〈角川書店〉

 訳:広瀬順弘/カバー:杉本一文/発行:1976125

ネッド・コンスタンチンは、ニューヨークの喧騒を逃れ、妻と娘とともにコーンウォール・クームの村に移り住んだ。あふれんばかりの陽光と土の香り、朝の目ざめを告げる小鳥の鳴き声、そして昔ながらの方法で大地を耕し、とうもろこしを育てる素朴な農民たち。まさにこの村こそ、ネッドが胸に思い描いていた理想郷だった。村の長老ともいうべき老寡婦、ウイドー・フォーチュンの厚意を受け、一家は村の生活にもすっかり溶けこんだ。だが、ネッドの脳裏を去らないのは、村の墓地の外に見捨てられたように建つ、一つの墓だった。それは自殺した若い女、グレース・エバディーンのものだという。なぜ彼女は墓地に葬られることを許されなかったのか? 尋ねても多くを語ろうとしない村人を前に、ネッドの不審の念はますます強まった。だがすでにその時、ネッドは村の恐るべき秘密と禁忌の中に、大きく足を踏み入れてしまっていたのである……。やがて起るおぞましい事件を機に、村は次第に魔性を現わしてゆく。そして収穫祭の夜……。